酔いがさめたら、うちに帰ろう。
漫画家・西原理恵子さんの家族を描いたDVDを見ました。アル中だった元夫と幼い子ども、アル中病院での様子などが描かれています。
自身の無謀な飲みっぷりが祟り、身体がボロボロになった元夫は禁酒を決意しますが、夕食を取った店で出された奈良漬をきっかけに飲酒が止まらなくなってしまいます。血を吐き、失禁し、この世のものとは思えない化け物のような状態になってもまだ飲み続ける狂気の姿に、当時の私の父が重なり、込み上げるものがありました。
この世には底知れない沼がある。
簡単なことでその沼に足を取られてしまうが、
そこからは抜け出すことは絶対にできない。
父がズブズブと沈んでいく。
何とか救い出そうとあらゆることをやり尽くしたが、
何にもならなかった。
ただ目の前で父が沈んでいく様を見ていた。
その沼を見た者は、やがて自分が沼の中にいることに気付く。
大切な人を救い出そうとしたその泥にまみれて、
今度は自分がどうにもならなくなっている。
多くの人がこの沼に沈んでいる。
それぞれが孤独にのたうち回っている。
決して抜け出せない。
人の力ではどうすることもできない。
もし救い上げることができるとすれば、
それはもう人間を超えた力でしかない。
この世を越えた者にしか、それはできない。
そんなことを考えながら見ていました。