思い出の整理~若かりし頃編

息子が誕生する前の写真の数々も整理します。

留学中の友人を訪ね渡米した独身時代、OL時代、そこで知り合った主人、
ハワイでの結婚式、高原やビーチへの旅行、甥の誕生、そして息子の誕生、七五三・・・。

主人は爽やかな迷いのない顔をしています。
息子と戯れる姿からは、溢れんばかりの愛情が感じられます。
一方私の顔といえば、神経質そうで、意地が悪く、不幸そのものといった印象を与えます。 
実際そうでした。あの頃の私には自分でも会いたくないと思うほどです。



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写真の中に絵葉書を見つけました。
新婚当時、出張先のスイスから主人が送ってきたものです。
当日、翌日と二日続けて送られています。
トラブルに見舞われて不眠不休で奮闘していること、
標高が高いのでボーっとすること、
パラグライダーや登山に日光浴と現地の人が日常を楽しんでいること、
電話だけでは伝えられない話がたくさんあること、
そして I LOVE YOU とまで書いてありました。
豊かな表現で彼の思いを伝えてくれています。


―ここから遠くへ私を引き離していったものは何だったのか―

それまで自分はOKだと思って生きていました。
両親には思うところあるけれど、でももう私は大人だし解決済みだ。
過去のことは許してあげられているし、親孝行も立派にできている。
世間的には一人前にやっているし、常識もあってちゃんとしている…
などと本気で思っていました。

それが息子がお腹に入った途端、
湧き上がってくる怒りを止められなくなってしまいました。
尋常でない憤りを持て余し、どんどん孤独になっていきました。
まずは親に対して。
そして主人に対して。
やがて息子に対して。
私を取り巻くありとあらゆるものに猛然と腹を立て、私は狂気の世界に入っていきました。



遠い異国から絵葉書を送って寄越すロマンチックな男性を、
人の気持ちを汲み取らない冷血漢としていたのは誰だったのでしょうか。
彼は私を愛してなどいないと悲嘆にくれ、
愛情を表現させなかったのはいったい誰だったのでしょうか。
どの写真をとっても可愛らしい楽しげなファミリーなのに、
何処か欠けた出来損いと見ていたのは誰なのでしょうか。

 


もうこの生活は終わりにしよう、
心の求めに応じて生きたい街に行こうと決めました。
引越の荷造りで否応なく荷物の整理をすることになり、
せざるを得なくてやっと避けていた箱を開けることになりました。

こうあらねばならぬといった理論ではどうしても動けなかったものが、
何だかわからないけれど心の情熱に従うことにした時に、
グッと持ち上がって引き出された気付きというものがあります。