聖霊への手紙 4

聖霊

 

今朝も目覚めると同時に、胸と腹いっぱいに重苦しい淀みが充満していた。

とても太刀打ちできないと逃げようとしている動きが自分の内にある。

――いつもいつもこれだ。こればかり。これにまみれた人生だ――

という思いのコンフォートゾーンにくるまろうとする意志がある。

起きた途端にそんな感覚でもみくちゃにされていた。

 

――瞑想だ。息を吸って、吐く。吸って、吐く。入る入る、出る出る――

毎朝やろうと決めたマインドフルネスという瞑想を試みる。

気付くと雑念に飲み込まれている。オーストラリアで過ごした日々、あの人この人、やれば良かったこと、やらなきゃ良かったこと…。

 

――ああ、これじゃダメだ!――

―ーダメだじゃダメだ!ー―

――という雑念がある、と、それさえも実況中継をするのだ――

切り替える。それでも5分間のほぼすべてが雑念に持って行かれているのだけれど。しばらくは実況中継、脳内・古館一郎だ。

 

そうやって瞑想を試みつつ、どうしても頭に様々イメージが浮かぶ。

イメージの世界の中で試行錯誤することは無意味なのだった。頭は胸から浮かんでくる想念を受けて、反応する。像を結ぶのだった。

そう言えば確かに胸の位置に何物かが湧き上がってくるような感覚は以前からある。これをまともに受けると大変な苦しみを味わうことになるのを経験上もう既に知っているので必死に押し戻そうしたり、ひたすら逃げ回ったり、気付かないフリをしてきたのだった。けれども湧いてきたものはちゃんと頭はキャッチしてしまっていて、引き綱を引かれて見せられてしまうのだった。

――頭のイメージを払い除けようとしても無理なんだ。胸の方だ。胸に湧いてくるこの得体の知れないモノをただ見て、光を当てるのだった――

と思い出し、その正体を知ろうとすることなしにただその不快さを見つめる。とてもできそうにない。聖霊と一緒に見つめることを意図した。それでも恐れがある。

手術台に乗ったイメージ。下からは薄紫色の変容の炎がゆらめく。私は顔をあげてみぞおちの辺りを覗き込むように、聖霊には上から当たるライトの役割を担ってもらった。

 

先日の駅で会った女の子が出てきた。

その女の子と、これまで生きてきた自分とが重なった。

 

希望で胸をいっぱいにしてこの世に出てきたのだけれど、道中が想像以上に険しかった。翻弄され迷いながらも必死に頑張って歩んで来た私。だけどとうとうどうしようもなくて泣きながら助けを求めた。それはそのまま、あの駅の女の子と一緒だった。

 

――かわいそうに、心細かっただろうね。でも大丈夫なんだよ。

教えてあげるよ。本線に乗ったら難無く行けるよ。元気を取り戻して行きなさい――

 

私だってそうだったのだ。

喜びと希望で踏み出したのに、こんな風になっちゃった。

でもRight wayのサインさえ見出せれば、そこへ向かってまた歩み出して行けるのだ。

教えてくれる存在はちゃんといる。私が彼女に為したように、私にも助けは現れる。