人も自分も責めないこと

子育てをしている最中は完全に無意識だったという人たちにたくさん出会ってきました。
彼らは自分がしてきたことを振り返り、罪悪感を強く抱いています。
それもわからなくはありません。
でも今は「意識」があります。

子どもたちにとっての試練は、あなた達を両親に持ったことです。
それが人生の与えた境遇です。
人生というのは、常に何らかの形であなたに制限を与えてきます。
究極的に見ればそれはよいことです。
人生はあなたに何らかの形で制限を与え、その制限の一つに「あなたの両親」があるわけです。

私の場合もそうでした。
私の両親は争いが絶えず、罵り合い、時には家庭内暴力もありました。
その状況に生まれたのは私の宿命だったのです。
子供の頃の私は、ひと時も穏やかではありませんでした。
しかし、これらすべての状況が「目覚め」の体験を引き起こしたのです。
すでに子どもの頃から苦悩があり、それから鬱になり、不安になり不幸になっていったのです。
これらすべてのことが「目覚め」に導いたのです。
ですから、それはそれでよいのです。

あなたの子どもたちにとっては、あなたが彼らの父、母であることは宿命であり、
また、あなたが無意識に振舞っていたことも、あなたの運命だったのです。
あなたが選んでそうしたわけではなかったのです。
あなたはあなたの両親から制限を受け、
あなたの両親は、またその両親から制限を受けてきたのです。
彼らはイギリス、イタリア、ギリシャの小さな村で生きる中で無意識に行動し、
今度はあなたが同じことをニューヨークで繰り返しているのです。
彼らは無意識と一緒に海を渡ってきたのです。
自我を置いてくることなく、自我と共に移民してきたのです。


ですから、自分を許すということは、その自我は自分でないと知ることです。
それは本当のあなたではなかったと知ることです。
もし、あなたがそれに気づき、今それを手放しているとしたら、
それこそがあなたがこの世界に貢献できるもっとも偉大なことです。
あなたは自分ができる範囲で子どもたちを助けていけばよいのです。
それは、今までの自分の反応的な態度を埋め合わせするためではありません。
当然あなたは、行き先々であなたにできることをしていきます。
でも、あなたができることで人類に貢献できる最も偉大なことは、あなたが「今に在る」ことです。
それは相手が誰でも構いません。

彼らに「今に在る」というプレゼントを渡すこと、これこそが本当のプレゼントなのです。
今にいるあなたという人ではなく「意識としてのあなた」をプレゼントするという意味です。
それがプレゼントであり、そこから沢山の癒やしが起こってきます。
あなたは無意識にいろいろなことを引き起こしてきましたが、
それはあなたのせいではなかったのです。
人類の無意識です。
あなたが引き起こしたという表現も、正確には間違っています。
意識としてのあなたが不在の時に、無意識があなたを通して現れていたのです。

でも今は「意識としてのあなた」がいます。なぜなら、あなたは「今ここに在る意識」だからです。
「〇〇をした私は馬鹿だった」と言うことも間違っています。
それがあったからこそ「今ここに在る意識」としてのあなたが今、
この世のために力強いものとなって存在しているのです。
もしあなたが、自分の子どもを助けることが出来ないのなら、他人を助ければよいのです。
ですから、罪を感じることはないのです。
あなたのマインドと感情が強かった時起こったことだからです。


罪悪感は捨て去らねばなりません。
人を責めること、自分自身を責めること、自分をダメだと感じること、両方です。
どちらも乗り越える必要があります。
人を責めること、自分を責めること両方共、解放していく必要があります。
「あの人はこうだ、私はこうだ」と責めることを始めた途端、マインドの世界に入ってしまうからです。
「私はダメだ、私が悪い」「彼らはダメだ、彼らが悪い」・・・。

あなたの責任は(責任という言葉を使うとしたらですが)この瞬間のあなたの意識状態にあります。
あなたの責任は、今ここに意識があることです。
あなたが責任を取れるのは「今ここに在ること」だけです。
過去に起こったことは一つもありません。そこに責任を取ることはできません。
今に在る意識にだけ責任を取ることができるのです。
それが人生において本当の意味での責任です。あなたは責任をとっていると言えます。
あなたが「今に在る意識」であれば、過去を修復し、癒していくことも出来ます。




Eckhart Tolle
地球人のためのスピリチュアルレッスン http://VastStillness.com