夏の祈り

前祭・山鉾巡行を見てきました。

たくさんの人が写真を撮っていたけれど、私は撮らないと決めました。
プロが撮った良い写真が巷に溢れているのだし、
こうだった、ああだったと見せびらかす相手もいないので。
自分の目で見て、自分が堪能しようと思いました。
気を使ったり使われたり、無駄な口を利いて間を埋めることもなく、
ひとりが気楽で良いです。
沸き起こる感情を神さまに捧げたいと思いました。



山車の大きさに比べて不釣り合いなほど高くそびえる薙刀は、厄を払うものだそうです。
どこまでもどこまでも精一杯先を突き刺すように伸ばして伸ばして、
災いが退散するように願ったんだ。
疫病が流行れば祈祷するより他に方法がなかった当時の唸るような祈り、
極東の島国のお祭りに何故かオリエントの垂れ幕が張り巡らされている意味、
正面に載った男性がひらりひらりと煽る扇子、
老人から十代にも満たない子まで様々な年代の男性陣の爽やかで堂々した顔。
想像を掻き立てずにはいられない鮮やかな映像が、次々と止むことなく繰り広げられる。

千年も前からずっと、続いてきた巡行。
そして現在、世界各国のたくさんの人々が一堂に見るという機会。
なんて幸せな街。
その中にこうして居られる恵み。


この幸せの中にただいること。
この気持ちが世界に充満しますように。


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