犬を抱いて泣く冬の夜

面接に受からない。

一つ目は美術館。
私の職務経歴を買ってくれて、
あれもこれもやっていただきたいことがたくさんある
などといいながら、しれっと不採用通知を送ってきた。

二つ目は某ホール。
職安からの推薦状と共に履歴書を送付するも、
何の連絡も返さず、電話の一本すら寄越さない。
不採用ならそうと言ってくれ。
無視し続けるなんて、社会人のすることか。

三つ目は職人さんが作った工芸品を扱うショップ。
住まいから歩いて行ける範囲。
特に資格など謳ってなかったはず。それなのに。
能力がない、基準に満たないと言われた。


へこむ。
やはり学歴がないからか。
何の資格もないからか。
扱い方が酷すぎやしないか。
この地が敬遠される所以はこれなのか。
やはり何の特技もない余所者は、ここでは生きていけないのか。


厳しい現実。
この不景気のご時世に、無能な、離婚歴のある中年の女が、
バラ色の人生を送れるなどと思っていた馬鹿さ加減を思い知る。


土地も高く、思ったような住まいが手に入らないし。
私の住んで良いところはここではなかったのか。
そうしたらいったい何処へ行ったら良いのか。




犬を抱いて泣く冬の夜。

私は弱い。